watashi

第一印象は3秒で決まると言うしね

ユングが唱えた心理学における「ペルソナ」をご存知だろうか?「ペルソナ」の語源は、古代ローマの演劇で使われた「仮面」である。家族といる時の自分、友人といる時の自分、初対面の人と会う時の自分…それぞれキャラの違う自分のようで、まるで仮面を取り替えているようなことを指す。

 

学生時代、心理学を少しだけ学んでいた。「ペルソナ」はなんとなく印象が強かったため記憶に残っていた。当時、先生が「本当の自分は1人でないということです。だから、例えば、人見知りだということを悩まず、それをもうひとつの本当の自分と受け入れることで悩みが無くなったりすることもあります」と仰っていた。なるほど、と腑に落ちたところがあった。

 

この春から、社会人となった。わたしのことを見てくれている直属の先輩がいる。その先輩は、仕事において厳しいところがある。仕事中はあまり笑わないし、間違ったことがあったりすると、遠回りをしない鋭い言葉で直接こちらに届くように伝えてくれる。あやふやにしないでくれることは、右も左も分からない新人の私にとってはとてもありがたいことである。だが、時々、口調が強くて引いてしまうこともある(それは決してわたしには向けられはしないけど)のも事実だ。

 

プライベートの先輩は、とてもかわいい人である。というのも、その先輩と同期との3人で、プライベートで出かけることがよくある。仕事終わりごはんに行ったり、映画を観に行ったり、演劇を観に行ったり。そのときの先輩は、仕事中のときとはまるで違う、雰囲気が柔らかくなる。わかりやすいところで言うなら、仕事モードが切れると、すごく笑顔が増える点だ。あと、仕事中は当然苗字にさん付けだけど、プライベートになるとあだ名で呼んでくれる。かわいい。

例えば、昨日も、偶然退勤する時間が一緒だったため、駐車場で立ち話になった。楽しく雑談をした、さっきまでの真剣な顔が嘘みたいに。駐車場まで職場にから歩いてたった30秒、その間に先輩は完全にプライベートの先輩になっていた。

 

仕事中の先輩にほんの少しだけ苦手意識を持っている。でも、プライベートの先輩を知っているから、先輩を苦手な人カテゴリーには入れない。ふたつの顔とも先輩であることに変わりはない。

 

 

先輩のことを詳しく例に取ってしまったが、わたしも状況によってかなり人が違うと思う。

仕事中でも、ふたりの自分がいるようでならない。事務所にいるときの自分は死ぬほど真顔で声も低いけど、お客さんの前だとそんなに愛想を振りまけるのかよって自分でも思う、くらいに明るい感じでいる。

なんだかそれが騙しているような気がしていた、事務所で過ごす同僚にも、お客さんにも。

 

 

でも、なんかそれでもいいのかも、と思った。先輩含めほかの先輩たちも、私と同様、事務所での先輩とお客さんの前の先輩とでは全然違う。当たり前っちゃ当たり前だなと思った。事務所内で愛想振りまく必要なんてないし、事務所内で会社員として求められているのは愛想でもなんでもなく、ただ、実績だ。

 

でもきっと、良い実績を実際より上であるように見せたり、悪い実績を実際より悪くないように見せたりするには、愛想なんだろうなと思う。

 

 

 

私の良くないところは、私自身が嫌いな私のペルソナであるテンションの低い私も、他人に受け入れてほしいなんていうワガママなところだ。

テンションの低い自分を見せた人には愛想良くして、テンション高い自分を見せた人にはテンション低い自分も見せる?否、一度仮面を被って出た人前で、違う仮面をかぶり直すことなんてできない。だから人からの見え方を変えるには、徐々に少しずつ変えていくしかないのだなと思う。